I is for Insane

統合失調症患者が綴る雑記

坂本龍一、永眠

間違いなく彼は自分にとって重要な存在だった。一般ウケするピアノ曲やポップスから難解な現代音楽まで作風は幅広く、一言で言えば「意義のある楽曲」が多い。

少し珍しい楽曲を例に挙げると、”Seven Samurai - ending theme”のキーはB♭で最初のコードはC。つまり、Ⅱから始まる。Ⅱ7ではなく、Ⅱ。これはなかなか思いつかない気がする。とはいえ、一聴した感じ違和感なく綺麗にまとまっているのはさすが。

比較的新しいアルバムである”async”はまず一般には受けないサウンドだろう。しかし、そのコンセプトとしてはどちらかと言うとシンプルで、同期しないリズムの並立が核となっているようだ。もちろん、ポリリズムとも違う。新しい音楽の可能性としては良いアイデア

また、一般的には辛辣で大口を叩いていたかのように感じる発言でも、認めざるを得ない部分が大いにある。”ロックはいつまで同じことを繰り返せば気が済むのか(うろ覚え)”など。 個人的にロックは好きで今でも聴くことはあるが、この発言は的を射ているんじゃないかと思う。政治的発言など相容れない考えもあるものの、だからと言って彼の作品が損なわれるわけではない。

2000年前後に「skmt」という書籍を読み、彼の辛辣さと真摯さに感銘を受けた。破天荒なエピソードも数多く、嫌いになるのも無理はない。しかし、彼にとってアンチの存在など取るに足らないものだっただろう。

彼は天才か、というと自分程度の人間にはその判断すらつかない。少なくとも、音楽に対して徹底的に考え抜いた人だとは言えるんじゃないか。

前述のskmtによると、彼は土葬を希望していたらしい。自らの肉体が自然に還り、他の生物の生きる糧になるなら、それは輪廻転生だと。まあ、イマドキの言い方だとスピリチュアルみたいだな。

てなわけで、ご冥福をお祈りします。