I is for Insane

統合失調症患者が綴る雑記

健常者の裏返し

「私は障害のせいで健常者と同じ程度には働けない。そのせいで恋愛も結婚もできない。自分は不幸だ。」と考えていた。

しかし、これこそが「健常者の裏返し」だ。仮に、障害が無いために、普通に働けて、恋愛も結婚もでき、不幸だと感じないとしたら、それは現在の自分と表裏一体である。言ってみれば両者の違いは障害の有無だけであり、「障害があるから」不幸で「障害が無いから」不幸だと感じないだけ。

もちろん、障害を無かったことにできない以上この違いは決定的と言っていい。ただ、この考え方では健常者に近づくこと(つまり、障害を克服し、普通に働いて、恋愛や結婚をすること)が幸福に至るための正解になってしまう。まあ、それも一つの生き方ではあるだろうし、否定されるような考え方でもない。でも、それは飽くまで「一つの生き方」に過ぎない。

いまでも障害を負って良かったとは決して言えないけど、自分自身のダメ人間ぶりを実感するにつけ「どう足掻いても結局、健常者のように生きられなかっただろう」とは思う。

どのように生きたとしても落ちこぼれた人間に、後悔する余地はない。それに、(これを書くのは憚れるが)自分はよくやってきたように思う。ヒトより多くバカにされ、蔑まれ、恥をかいてきた。いま現在もそういう時はあるし、今後もあるだろう。他人に迷惑をかけることだってある。そうだとしても、覚悟を持って自分なりに考えて生きていくこと。

バカにされたくない、恥をかきたくない、迷惑をかけたくないとあれこれ心配しても無駄だ。せっかく落ちこぼれたなら、この道でしか見られない風景を見たい。詩や文学や音楽でしか表現できない風景のいくつかがここにはあるような気がするから。ラクでも幸せでもない人生を歩まざるを得なかった人々が描こうとした、そんな風景が。