I is for Insane

統合失調症患者が綴る雑記

無自覚の殴打

 

安倍首相は悪辣で無教養な政治家。そんな安倍首相を「私たち」は信頼できないし、このままでは日本の将来に暗い影を落としてしまう。「私たち」は正義感に燃えています。安倍首相を退陣に追い込み、理想の社会を築くことが「私たち」の目的です。


ところで、「理想の社会」って一体何なんでしょうね?私が考える「理想の社会」と、あなたが考える「理想の社会」は全く同じ?もちろん、全く同じではないでしょう。一部は同じであったとしても、その全てが同じであるはずがありません。だからこそ、対立が生じるわけです。誰にとっても理想的な社会なんて「絶対に」あり得ないんですよ。自分の理想を他人がみな理解してくれるなんて幻想。それでも、「私たち」は「理想の社会」を目指すべきなのでしょうか。


私はそうすべきだとは思いません。


例えば、お金があれば幸せだ、という人みんなにお金を行き渡らせることはできるんでしょうか?私はできないと思いますけどね。あ、お金という言葉を仕事や生きがい、パートナー(この場合は「あれば」ではなく「いれば」ですが)などに替えてみてもいいかもしれません。


社会が何らかの理想を指向するならば、必ずその対極にいる人々が苦しむことになります。障害者や犯罪者など、社会的弱者がその典型例と言っていいでしょう。「私たち」はそういった人々の苦しみを直視せずに、のほほんと過ごしているんです。


そもそも、なぜ社会を変える必要があるのでしょうか?それって「自分好み」の社会に変わってほしいだけなんじゃないですか?


私は「自分にとって」大切な人々のためにできることがあればいいな、と思っています。「自分にとって」大切な人々というのは名前も顔も知っている親しい人たちのこと。それ以外の人たちについては、大切に想うことはできません。顔も名前も知らない人たちのことを大切に想う、なんて嘘か妄想のどちらかでしょう。


そういえば、「自分好みに」社会を変えようとしてる人といえば誰かいたような気がしますが…?